ロンドン塔のすぐ横にかかる跳開式の可動橋。いうまでもなく、ロンドン観光の必見スポットのひとつ。運が良ければ橋が開くのが見えるかも?
こんにちは、ロンドンナビです。今日はこのタワーブリッジにやって来ました。中世のお城のような塔を持つタワーブリッジ。この橋とテムズ川の景観はロンドンの象徴的なひとこまともいえますよね。
テムズ川に架かるタワーブリッジ、絵はがきのままの風景だ
地下鉄タワーヒル駅を出ると目の前に見えるのがロンドン塔。ここはいつでもたくさんの観光客で賑わっています。そしてそのロンドン塔の建物の向こう側、テムズ川に架かる橋がタワーブリッジです。両岸にそびえ立つ塔がまるでお城のよう、子どものころに読んだ西洋のおとぎ話のさし絵から抜け出してきたみたい…と、ちょっとノスタルジックな気分になったナビ。まずは橋を渡ってみましょう。
ロンドン塔の切符売り場には、いつもたくさん観光客が並んでいる
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タワーブリッジはロンドン塔のすぐ横にある(バトラーズ・ワーフ前から撮影)
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いまでも現役の可動橋
塔の両側は吊り橋の橋げたになっている
鉄骨で出来たこの橋は1894年に完成した跳開式の可動橋。そう、大きな船が通る時に橋の真ん中が持ち上がる跳ね橋です。東京の隅田川にかかる勝どき橋もこの橋と同じ跳開橋なのですが、1967年に開いたのを最後にその役目を終えてしまいました(その後、点検のために1970年まではたまに開いていたそうですが)。でも、このタワーブリッジはまだまだ現役、1カ月に数回は開きます。かつて橋を持ち上げる動力として、蓄圧器に蓄えられた蒸気が使われていましたが、今は油圧と電気モーターで動かしています。以前、橋の開閉に使われていた水圧式エンジンは橋のシティ・ホール側にあるエンジンルームで見ることができます。
橋のこの部分が持ち上がる
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すき間の下に見えるテムズ川
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エンジンルームは階段を降りて橋の下へ
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エンジンルームの中はこんな感じ
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塔の高さはだいたい50m?
橋の上の車道は1車線づつ、人は片側だけ歩ける
塔の高さは50mくらいあるでしょうか。水に隠れている部分が測れないからなのか、ナビが調べた限りでは正確な数字が見つけられませんでした。2つの塔を繋ぐ2本の通路、ウォーク・ウェイズの高さが42mということですから、それよりは高いようです。塔と塔の間は270m、ここの真ん中から持ち上がります。真ん中の継ぎ目が3cmくらい開いていて下のテムズの水が見えますよ。現在、車道が片側1車線づつと、歩道が両側にあるのですが、歩行者が通れるのは橋の片側(上流側)だけとなっています。塔から岸までは吊り橋になっています。タワーブリッジが鉄骨でできていることがこれを見ると納得できます。また、塔の外壁は石材で化粧張りされています。
2つの塔の間をつなぐ通路も歩ける
タワーブリッジの1つ上流に架かるロンドン・ブリッジ
テムズ川に最初に架けられた橋はこのタワーブリッジのひとつ上流にあるロンドン橋(London Bridge)。その後、いくつもの橋がテムズ川に架けられましたが、それはみなこのロンドン橋より上流でした。19世紀になり、ロンドンの水運がさかんになるにつれ、ロンドンの東側のエリア「イーストエンド」が発展し、ロンドン橋の下流にテムズ川の水上交通を妨げないような橋を架けることが国として早急な課題となりました。そこで、ホーレス・ジョーンズとジョン・ウルフ・バリーが設計したこの跳開式というアイデアが採用されました。面白いのは、両方の塔を結ぶ歩行者専用通路が橋の高い位置にかけられていることです。橋が上がって向こう岸に渡れない時のために作られたのですが、わざわざ階段を上がったり降りたりするのが面倒だからと、人々はじっと橋が閉じるのを待っていたそうです。そのためこの通路は不要と判断され、1910年に閉鎖されてしまいました。それがいまでは、ガラス張りのウォーク・ウェイズという形に生まれ変わり、タワーブリッジの観光の目玉となっています。このようなタワーブリッジの歴史や経緯は、タワーのてっぺんにある博物館で詳しく知ることができますよ。
ウォーク・ウェイズへの入口。タワーブリッジ・エキシビジョンという名前がついている
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下から見上げたウォーク・ウェイズ
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橋が開くのを見に行こう!
橋が上がるときはこの信号が赤になる
ナビはこの日、橋が開くのを見るためにここへやってきました。シティ・ホールの前の広場に腰をおろして橋が開くのを待っていたのですが、予定時間の3分前になっても何の変化もなし。きょうは中止なのかな、思ったらサイレンの音が橋の方から聞こえてきました。
みんなも必死で写真撮影
そして、橋の上の道路から車の姿が消えた直後に橋が上がり始めました。橋が上がる速度は意外と速く、滑らかにコンクリートの板が持ち上がっていきます。橋は最大開度の86度まで上げるためにもわずか1分しかかかりません。ナビはこのあと、灯りをキラキラさせた大きくて豪華な船が開いた橋の下を通り抜ける、と勝手に期待して待っていたのですが、なんと写真にも映らないような暗くて小さな船が静かに通過して行きました。確かに、高いマストが付いていたので、橋を上げないと通ることができないのでしょうけど、いまひとつ納得がいきませんでした。
完全に上まであがった
通過する船が「地味」だったのが残念
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開き始めてから閉じるまでは5分くらい
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夜のタワー。橋を渡って帰路へ
でもタワーブリッジが開くのをこの目で見ることができた人たちは、みな「よかったね!」って笑顔です。帰り道にタワーブリッジを渡る時、なんとなく機械油の匂いを嗅いだ気がしたナビ。今度はこの橋の上で目の前に持ち上がってくる橋を見たいと思いました。以上、ロンドンナビでした。